おおいたん酒と旅

個性を追求した「ALL USA」の焼酎造りに挑戦中。

宇佐ICから車で約20分。宇佐市四日市は、国宝宇佐神宮の門前町として栄え、堂々とした風格のお寺や神社が残る歴史情緒と、市内屈指の歓楽街という2つの顔を見せてくれます。この地で明治40年に創業した「常徳屋酒造場」は、令和4年に115周年を迎えた歴史ある蔵。現在は4代目が中心となって「ALL宇佐産」の焼酎づくりにこだわり続けています。商店街駐車場に車を止めて、蔵までの道のりをゆっくりと徒歩で。本町通りから石畳の横道通りに入ると、すぐに蔵の姿が見えました

  1. #01 常徳屋酒造場に訪問してみた
  2. #02 ランチは本場中国仕込みの火鍋屋さんへ
  3. #03 門前町四日市を散策してみた

#01常徳屋酒造場に訪問してみた

創業当初から3代目まで清酒ブランド「正直の誉」を製造・販売していた常徳屋酒造場。昭和59年に市内3社と(株)大分銘醸を立ち上げ、統一銘柄の麦焼酎を製造する焼酎蔵へと生まれ変わりました。それから約20年経ち、4代目・中園誠さんが「常徳屋酒造場の名で、自分たちが納得する焼酎をつくりたい」と決意したのを機に協業から独立。3代目と妻の香織さん、2人の蔵人とともに、新しい「常徳屋酒造場」を復活させました。平成15年7月、常徳屋の第二の創業。焼酎ブランド「JOTOKUYA」の誕生です。

蔵に着くと、4代目の中園 誠さんと奥様の香織さんが出迎えてくれました。店先から奥のほうへ案内されると、入り口からは想像できないほどの奥行き。建物のなかでもっとも古いという江戸時代のかまど場を通り抜け、広い仕込み蔵へと続きます。「自由に何かを感じ取ってもらえたら、僕らにも教えてくださいね」と誠さん。独特の空気感に気分も高まります。

焼酎の原料は宇佐産麦と名水。地元の気候風土を反映したALL宇佐産焼酎づくりにチャレンジしている、とのこと。それが「旨さ=個性」につながり、自分たちだけのオリジナリティを生み出しているそうです。「減圧蒸留の焼酎はライトで飲みやすく、寿司や魚介料理と合わせるのがおすすめです。常圧蒸留はガツンとインパクトのある味わい。焙煎と熟成のコクが特徴で、ビーフやジビエなど肉料理によく合うと思いますよ」

さらに奥へと進むと、ひんやりとした空気が漂う土蔵の中に古酒を熟成中の甕と樽がずらり。出荷の時を静かに待っています。箱入りの甕貯蔵酒は協業から独立して「第二の創業」を果たした平成15年に仕込んだ焼酎を甕で寝かせ、15年経った令和3年11月12日に多治見焼の陶器に詰めて390本限定発売したもの。今後も20周年、25周年と節目の年に発売するそうです。

定番酒や限定酒、新商品が並ぶ店内では、蔵元に直接、好みや用途を伝えて選んでもらったり、おすすめを聞いたりしながら購入できるのが楽しみ。さらに、蔵を見学したあとに購入すれば、いつもと違う感覚で商品選びができそうです。現状に満足せず、常に高みを目指すチャレンジ精神が代々受け継がれている常徳屋酒造場。いつ訪れても、何か新しい発見がありそう!そんな気持ちにさせてくれる、蔵元さんでした。

常徳屋酒造場

#02ランチは本場中国仕込みの火鍋屋さんへ

蔵元さんおすすめのランチスポットは、蔵から徒歩1分、横道通りの角にある「Hot Pot-菜Chai」。オーナーは、20年近く中国で暮らしていた宇佐市出身の嶋田 錠さんと、同時期に中国に留学していた際に出会ったという奥様の絵菜さん夫妻。本場、中国で火鍋を知った錠さんが、「大好きな火鍋を地元の人に知ってほしい」「気軽に食べてほしい」という思いで、平成30年7月30日にオープンさせた薬膳火鍋と中国茶を楽しめるお店です。

まずは、看板メニューでランチタイムの人気No.1火鍋セット(野菜とお肉、シメ、卵とネギ付き)から。今回は「麻辣」「白湯」「きのこ」「海鮮トマト」の4種類の選べるスープから、定番の「麻辣」をセレクト。10種類以上の薬膳を使用した辛さと痺れが特徴で、デトックス効果も抜群!辛さは調整可能なので、「辛いのはちょっと……」という人は気軽に声をかけてみて。

チャーシュー丼と気まぐれ冷やし担々麺も、味わってほしい人気メニュー。チャーシュー丼は2日間じっくりと煮込んだチャーシューと盛りだくさんのネギに甘めのタレがかかった、満腹系の丼。名前の通り「気まぐれ」で登場する担々麺には肉味噌と砕いたピーナッツ、ゴマだれがかかっていて、よく混ぜて味わうのがポイント。長天唐辛子とホアジャオが付いているから、途中で味変も楽しめます。

Hot Pot-菜Chai

所在地
大分県宇佐市四日市1200
連絡先
0978-25-6121
営業時間
11:30〜14:00 / 18:00〜22:00
定休日
火曜、日曜夜休み(不定休あり)

#03門前町四日市を散策してみた

お腹が満腹になったら、門前町四日市散策へ。常徳屋酒造場がある四日市は、九州最大の木造建築「東西別院」が隣接して建ち、全国でも珍しい街並みを形成している門前町。人々の日常の生活空間に多くの歴史的・文化的遺産が溶け込んでいて、通りを歩けば独特な魅力に気づくことができそう。

東本願寺四日市別院」は、木造建築物が荘厳な雰囲気をかもす寺院。九州最大級の本堂(国登録有形文化財)や江戸時代から伝わる山門(県指定有形文化財)など見どころ満載です。「西本願寺四日市別院」は、江戸時代中頃に創建。現在の本堂は九州では最大の木造建築物で、全国でも屈指の大伽藍(修行の場)。東西別院ともに、現在は豊前・豊後の念仏道場として大切な役割を担っているそうです。

「西本願寺四日市別院」から極楽通りを抜けて門前広場へ。本町通りを少し進むと「四日市」の名の起こりとなる市が開かれていた「桜岡神社」に到着。地元の方々にも親しまれている神社のようで、買い物帰りにお参りをしている人の姿も!「陣屋門」は、日田代官所四日市陣屋が放火に遭った際に消失を免れ、唯一の現存する遺構に。門の横には「四日市陣屋跡」の小さな石碑が建てられていました。

音の調べ通り(宇佐本耶馬渓線)にも足を延ばして、まずは「十宝山大乗院」へ。108段の階段を上がっていくと、本堂に安置されているのは鬼のミイラ! 立ち上がった時の身長は推定2メートル、頭には角も生えているとか……。写真撮影は禁止されているので、実際の姿はお参りする日までお預けです。
「四日市横穴群」は、6世紀後半から7世紀のものとされる集団墓の総称。足元に気をつけながら階段を上ると無数の横穴が出現し、有力者のものだと思われる装飾古墳も見ることができました。

西本願寺四日市別院

所在地
大分県宇佐市大字四日市1410
連絡先
0978-32-1901

東本願寺四日市別院

所在地
大分県宇佐市大字四日市1425-1
連絡先
0978-32-0050(日豊教務所)

宇佐市観光協会

所在地
大分県宇佐市南宇佐2179-3
連絡先
0978-37-0202

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